小説の基礎練15:馬蹄をあらわす(お題:小指の爪)

小説の基礎練です。詳細はリンク参照。

 


「小指の爪、どうしたの、ケガ?」

 

今思うと僕も緊張していた。どこを見ていいか分からず足元ばかり見ていたら、彼女の足お小指の爪が不自然に赤く染まっていることに気付いて、どうでもいいのにそんなことを言った。

 

「ううんペディキュア」

「ペディキュア?」

「マニキュアを足の指に塗るのそう言うんだよ」

「ふうん……」

「校則厳しいからマニキュアつけたら怒られるからみんなペディキュアで我慢してる。つってもソックス履くから見えないんだけどね。でもなんかちょっと楽しいじゃん。でも昨日プールなのに落とし忘れちゃって怒られた。だから落としたんだけど小指の爪ってなんかちんちくりんじゃん?」

 

と彼女は早口で言うと便器の蓋の上に片膝を立てて小指の爪を見せた。

 

「なんか、肉に埋もれてゴミみたくくっついてる。だからうまく塗れないし、落とせないし、ま、これくらいいっかーと思って」

 

彼女は片足を元に戻すと再び作業――キスを終えると僕のズボンのチャックを下ろし始めた――に戻った。僕は自分のベルトが他人に外されるカチャカチャという音を上の空で聞きながら、まだ彼女の言葉が頭の中にひっかかっていた。

 

ということは、この厚底サンダルを履いた脚は随分大人びて見えるけど、

 

「高校生なの? 大学生かと思ってた」

「ううん中学」

「中学?!」

 

僕はチャックから中身を取り出そうとする彼女の肩を持ってひっぺがした。

 

「なんで? だめ?」

 

そう言う彼女の顔をまじまじと見ると、確かにきつい化粧の下にうずもれた素顔は幼なそうである。さっきの一方的な早口も、子供っぽいというか、いやむしろ彼女も緊張していたのか。

 

「中学生だからバイトも出来ないしお金も無いの。いいでしょ、慈善事業だと思ってさ」

 

僕はふにゃふにゃと便器に座りこんだ。

 

校則は守るのに、もっといけないことはするんだな、という台詞が出かかったが、喉の奥に押しとどめた。はるかにいけないのは僕、ということになる。

 

 

映画館から出てきた時に、映画面白かったですね、と声掛けられたのだった。それでお茶をして話がまとまって、そのままその店の男性トイレに二人で入ったのだった。

その後何度目かに会った時も、まだ彼女は足の小指の爪は赤かった。

 

「ていうかむしろ塗り直してる。小指だけだったら先生気付かないし」

 

ベッドの上で手足をしゃかしゃか動かして全身でシーツの感触を楽しんでいる裸の彼女の唯一の意思とか、反抗心をあらわすように、小さな赤が光っていた。

中学生の女の子はヘアピンとか、ケータイのストラップとか、身体の周りの小さなものにこだわりをもつ。その中にその爪も入っていると思うとかわいらしかった。

僕があげた金はそういうものや、友達と遊ぶのとか、CDとか漫画に消えていくらしかった。つつましいものじゃないか。

 

 

 

夏休みが始まり、彼女のようなサンダルにミニスカートの子供の姿があふれだした。

僕がたまたまあの時の映画館で映画を見て、あの時と同じ喫茶店に入って、用を足そうと思った時、扉の下から見覚えのある小指の爪がのぞいていた。もちろんここは男子トイレだ。

 

「……」

 

分かっていたはずだ。自分だけじゃないと。何を思いあがっていたんだか。いや、分かっていたけど気付かないふりをしていたのか。「私はブランドのバッグとか要らないからパパはひとりで十分だし。そういうの欲しがる子もいるけど」そういう言葉を鵜呑みにしていた。

 

僕はそれからその喫茶店や街のいたるところのトイレに入っては。足元をのぞく癖がついてしまった。そのために街をぶらつくこともあるくらいだった。

 

 

早く秋が来ればいいと思った。サンダルの季節が終われば、と。

 

 

 

 

 

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こまった時のエロ頼み。

 

 

足の形って人それぞれなのに普段あんまり見ないから、

だいたい他人のを見ると「変なのー」って思う。

自分の形が一番普通できれいなものだと思ってしまっている

でも他人に見られたら「変なのー」と思われるのだろう

 

手の爪もわりにそんなところがある。

この前「爪のきれいさだけは自信がある!!」とか言って

手の画像をtwitterに上げてた人がいたけど

「変な爪―。でかすぎ」と思っただけだった。

 

他人の足の爪なんてもう最強に気持ち悪いですよねー。

 

気持ち悪いと言えばこの主人公の男もきもちわるいなーと思います。

気持ち悪いなーと思いながら書きました。

 

 

 

ペディキュアと言えば、

おなじみ綿矢りさ「インストール」でも名シーンがありますね。

主人公の女子高生に風俗チャットを紹介したマセガキの家に早朝に忍び込む時

ペディキュアした自分の足みて

「ああ私女泥棒みたい」

って思うんだよね。

 

マニキュア、ペディキュアは自分の視界に入るから

自意識に与える影響が大きいらしい。

(確かにどんなに化粧しても自分じゃ見れない)

 

というわけで小説の題材にもなりやすいにちがいない。 

小説の基礎練14:溺れる人魚(お題:溺れる魚)

 

小説の基礎練です。詳細はリンク参照。



 

 人魚姫はやりきれない思いでした。王子を助けたのが自分であることを伝えるために人間の身体を手に入れたのに、声を失ったためにそれが出来ずにいるのでした。しかも浜に打ち上げられた王子を見つけた別の娘が、王子の命の恩人としてすっかりまつりあげられ、婚約の話も持ち上がってきているのでした。

 

 声を失っても王子のそばへ行きたい、声が無くても想いは伝えられる、そう思っていた自分のせいだから、良いのです。ただ、別れ別れになってしまった姉たちを思うと胸が締め付けられるのでした。王子と一緒になることが自分の一番の幸せだと思って、苦渋の決断をして陸へ送り出してくれたのに。

 

 昨日、姉たちが魔女からの伝言を伝えに来たのでした。
「王子の胸を短剣で突き刺せば、あなたは人魚に戻れる」。
そう言った姉たちが、王子を犠牲にしてでも海に戻ってきてほしいと願っていることは痛いほど伝わってきました。久しぶりに姉たちの姿を見て、海に帰りたい、王子のことなんか忘れて、また家族で暮らしたい、そうも思いました。

 

 なんでこんなところに来てしまったのだろう、とも思いました。

 

 自分をかくまっているために王子の立場はどんどん悪くなっていました。いくら王子とはいえ、海辺で一目ぼれした素姓の分からないおしの娘をいつまでもお城にかくまっておくことはできません。あの娘と結婚するのならなおさらです。

 

 自分は王子を助けた。だからと言って、それだけで好きになってもらえるとも、いつまでも一緒にいられるとも思っていません。

 

 でももう少しだけそばにいたい。しかしそれこそが、王子の立場を悪くしている。

 

 尾ひれと声を失った自分は、できそこないの人間、泳げない魚。何もできない存在なのに、王子の傍にいたいだけ。

 

 ポケットに入れた短剣を見つめたり、握り締めたりしながら、人魚姫はずっと考えていました。

 

 

 

 その日も船上パーティがあり、王子も、人魚姫も船に乗り込みました。

 ああ、十七歳の誕生日、私が王子を助けた日と同じ。

 そう人魚姫が思いながら海を見つめていると、海の色までが同じなので人魚姫はハッとしました。

 人魚姫の予感は的中し、突然強い風が吹きすさび、海は荒れ、船は大きく揺れだしました。

人魚姫が王子のもとに駆け寄るのと、船がひっくり返るのは同時でした。二人は海へ放りだされました。


 人間の身体となった今は海は恐怖でしかありませんでした。尾ひれの無い身体は油断するとどんどん沈みます。

 今この人を短剣で刺せば、私は救われる。そう思ったけれど、ポケットの中の短剣を抜くことはどうしても出来ませんでした。

溺れる王子の身体を抱えながら岸を目指して泳ぐ人魚姫でしたが、岸まで泳ぎきれるとは到底思えません。


 なんとか浅瀬まで王子を抱えてたどりつくと、まるで蝋燭の灯が消えるように、ふっと身体中の力が抜けました。海の底から伸びた手に足を引っ張られるように、人魚姫の身体は水の中へ消えていきました。


 最期に見た王子の顔に、驚きの表情が浮かべられていることが、人魚姫の救いでした。

 

「ついに気付いてくれたのね。あの時も、今も、私が。

私は海に帰ります」

 

人魚姫は心の中でそう呟くと、はじめて人間の身体で王子の役に立ったことを喜びながら、波の中に消えて行きました。

 

 

 

 

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「溺れる魚」って題から人魚姫以外のことが浮かばなかった。

しかし「溺れる魚」というお題からは少し外れてしまったかもしれない。

 

人魚姫のあらすじをwikiで読むだけでエモい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%AD%9A%E5%A7%AB

 

しかし「王子を助けたのは自分だと伝えるため」に陸に上がったのに、

声を失ったからそれが出来ないだなんて、切ないけどオマヌケだ。

 

そして人間としては低教養だしおしだし素姓謎だし、だいぶダメな人間なのに

とにかく身体ひとつで好きな人のところに行くなんて、エモいけどやっぱりオマヌケ。

 

好きな相手に「何かしてほしい」と思うより、

「してあげたい。いや、したい」と思うのが素敵な恋愛だと思いますが、

「何かしたい。しなくちゃいけない。何もしないと自分のいる意味無い。価値無い。存在意義無い。」

と思い詰めてくのは喪女の典型

 

まあ、小学生の時から「王子を救う姫の話」ばかり書いてた私は

ボーン・トゥー・ビー・喪女なわけだ。

 

 

この「小説の基礎練」も、これで14本目になるわけだけど、

「童話調」「擬人化」「死ぬラスト」が多いなあと思う。

 

童話の文体はとっても書きやすくてものすごく速く書ける。

そして、短い時間でオチをつけないといけない基礎練とも相性が良い。

あと、私は童話がものすごく好きなのだよ。

小学生の時からグリムもアンデルセンも読破してたし大人になってからも何度も読んでる。「恐ろしい童話」ブームの前も、後もね

 

擬人化は、例えば「ポラロイドカメラ」や「地下鉄」というお題の時に

そのものをそのまま主人公にしてしまうというもの。

 

「死ぬラスト」が多いのは自分で不満である。

私、本編では「死ぬラスト」ってほっとんど書かないし、

読む側としても安易に死ぬラスト持ってこられるの大嫌い。

でもまあ、基礎練で、安易に「死ぬラスト」にしたものはひとつも無いつもりである。

 

 

そういえばtwitterでこんな心理テストがまわってきた。

http://www.tokyo-myc.gr.jp/sinsou15.html

 

みなさんもやってみるならやってみたあとで、
私の回答を見てもらえればと思うんだけど↓、

 

1)エモくて残酷

2)七割

3)死んでから愛に気付く

 

でした…………。まあいつも書いてる話マンマだな。

 

 

ちなみにちなみに童話が好きだと腐るほど言ってる私ですが、

渋澤的三大エモ絵本は

『いつまでも、ワニ』

『何でも見える鏡』

100万回生きた猫』

です。

 

『鏡』は絶版だから図書館で借りてね。命を賭けてオススメしますよ。

 

 

 

さてさて、純真だけどおバカな人魚姫、王子への愛は貫く必要があったのか。

一目ぼれだけで結婚できるのか。声が無くとも魂だけで愛は通じ合うのか。

 

倉橋由美子氏の人魚姫はオススメですよ。「大人のための残酷童話」に入ってるよ

小説の基礎練13:地上で一番大きな死骸(お題:かみなり)

 

 小説の基礎練です。詳細はリンク参照。


教会のふもとには小さくて美しいモミの木がありました。

クリスマスが近づくと、子供たちによって美しい飾りがかけられ、小さなモミの木はいつも得意げでした。

その隣には大きく育ちすぎたモミの木がありました。

葉は誰も手も届かないほどに高く、子供たちは飾りをつけることもできません。

背も見上げれば大人でも首が痛くなるほどで、目まいがしてうんざりしてしまいました。

しまいには町で一番高い建物である教会よりも高く育ち、教会に覆いかぶさるように広がった葉が日当たりを悪くしていました。

 

「あののっぽのモミの木さえなければね」

「前はステンドグラスに差し込む朝日がとても美しかったのに」

「あんな木、伐っちゃうことはできないのかね」

「司祭さまが優しいから……」

 

教会を訪れる人々はモミの木を見上げながら悪口を言うのでした。

それを聞くたび、のっぽのモミの木は身をすくめながら思うのでした。

 

「僕だってこんなに大きくなりたかったわけじゃない。なのに、身体が育っていくのを止めることはできないんだ。恥ずかしくて申し訳なくて仕方ないんだ……」

 

 

クリスマスが近づいたある夜、急に天気が悪くなり、暗雲が立ち込め雷鳴が轟き、激しい雨が降り始めました。

小さなモミの木がまとっていた飾りは銃弾のような雨粒に打たれて全て落ち、もはや立っているだけで精いっぱいです。

教会も、自慢のステンドグラスを雨に打ち砕かれないかと震えあがっています。すでに一階は水浸しで、クリスマスのために準備されたパンもワインも御馳走も台無しでした。

二人とも落雷が聞こえるたびに失神しそうなほどに怯えています。

のっぽのモミの木はそんな二人を見下ろしながら考えていました。

 

「雷は高いところに落ちる。僕は二人を守ってやることができる。

のっぽなだけで何にも役に立たない、むしろ嫌われ者の僕だけど、最後にみんなの役に立つことができたら」

 

そう思うとのっぽのモミの木は普段すくめがちな背をぴんと伸ばし、葉をいっぱいに広げました。

小さなモミの木には痛いほどの雨粒も、丈夫なのっぽのモミの木にはむしろ気持ち良いくらいで、もっともっと水を吸って大きくなりたい、と生まれて初めて思いました。

 

「もっと、もっと、大きくならないかなあ!」

 

そう願うと本当に背が伸びていくみたいで、雷を落としている雲に少し近づいたように思いました。

すると気のせいでなく本当に、のっぽのモミの木の背は伸びていたようです。雲の独り言が聞こえてきたのです。

 

「ああ、悲しい。悲しい。僕だって落としたくて雷を落としたいわけじゃないんだ。だけど、身体に溜まっていく電気を抑え込むことが出来ないんだ。みんな僕のせいで死んでしまう。美しい建物を壊してしまう。悲しくて、申し訳なくて仕方無いんだ……」

「雲さん、雲さん!」

 

のっぽのモミの木は嬉しくなって話しかけました。

 

「僕に雷を落としていいよ」

「え? そんなこと言ってくれるのかい?」

「だって、僕たち、そっくりなんだもの。多分僕は、君の雷を受けるために生まれてきたんだよ」

「そんなことってあるのかい」

「うん。僕はクリスマスを楽しみにしているこの町の人たちを守りたいんだ。伸びすぎちゃってクリスマスツリーにもなれない僕は、多分それが唯一の出来ることなんだ」

「ありがとう。神様に口利きをして、君のことは僕が必ず天国へ連れて行ってあげるよ」

 

そう言うと雲はのっぽのモミの木の上に雷を叩き落としました。

激しい衝撃とまばゆい光が全身を貫くのを感じながら、のっぽのモミの木は、最期に「天国ってこんな感じなのかなあ」と思いました。

 

 

息絶えたのっぽのモミの木の身体は、巨大な音を立てて崩れ落ち、教会と小さなモミの木を完膚無きまでに圧し潰しました。

 

 

 




 

・・・・・・・・・・・・・・・

おわた。

 

雷が「神鳴り」で、神様と関係あるものだとは世界各地の人が思っているようだ。

 

それから疑問なんだが、避雷針のある建物に雷が落ちた場合、中の人は生き残るのだろうか。

だとしたらそんな経験をしてみたい。神の御心に洗われて人格総入れ替えとかしたら面白い

 

 

時にこの小説は構想に時間かけすぎて時間なくなり、パソコン直打ちで書いたのだが(普段は紙に下書きしてからパソコンで打つ)、

こんなツイートを見かけた

 

https://twitter.com/Mr_ozin/status/220127939637936128

 

『心理学の先生曰く、2chに書かれている罵詈雑言は手書きだと書けないそうです。パソコンだと簡単に文字が出るので、そういう事が書けるのだそうです。確かに僕も、「今日も脳内彼女と一緒にお昼のお弁当ターイム!」なんて手書きで書いたら泣きたくなります。

 

だとしたら、手書きで書くのとパソコンで書くのでは小説の仕上がりに決定的な違いが出ることになると思うのだが、どうだろうか。

 

私がなんで手書きで書いてるかというと、PCだと気軽に語句挿入出来て「あれもこれも」ってなりがちで、役所の文面みたいになっちゃうんだよね。

『締め切りは33112時(必着)で、郵送に限る(速達)。』みたいな。

文章は基本的に初めて書いたものが一番良く、つぎはぎすればするほど悪くなっていくと思うので、

あまり手を入れない方がよく、手入れをするなら根本的にすべきなのよね

 

とは言え、初めて書いた時に書き飛ばしてしまって分かりにくいものもあるので、

そういう最小限の手入れをしつつPCに清書するという感じでしょうか。

 

いい加減出勤するね☆

小説の基礎練12:オムレツになるしか能が無いのに、生まれてきちまったのかこのヒヨッ子(お題:オムライス)

小説の基礎練です。詳細はリンク参照。 

 

 

「ご主人様、オムライスの起源ってご存知ですかー?」

「ん、起源って? 最初に作った人ってこと?」

「そうです!」


 そう言ってハルカは微笑んだ。

僕の目の前には注文したオムライスが運ばれてきており、いつもなら常連の僕の名前を聞かずとも書き出す彼女が今日はケチャップボトルを握ったまま手を動かさない。

「オムライスってどこの国生まれだと思いますか?」

「うーん」

オムライスは洋食の定番だから日本な気もするが、オムライスの元の言葉であろうオムレットはおそらくフランス語なので、


「フランスかな?」


と答えると、


「そう、さすが大学教授―!」


と猫耳を揺らして褒めてくれる。胸元についた鈴もフリルと一緒に揺れてちりちりと鳴る。だいたいハルカは意味も無く褒めてくれる。


「あたしもこれ聞いてびっくりしたんですけど、フランス革命のときに出来たらしいんです。なんか、オムライスってハタがついてるじゃないですか」


と言ってハルカが私のオムライスの日の丸をつまむ。いつもオムライスに名前を書く時に邪魔なので、さっさとはずしてしまうものだ。


「これ、もともとはフランス国旗なんだそうです。フランス革命の時、勝利を祝って作られた料理なんだって」

「ふうん」


なんでいつも頼んでいるメニューに対して今日は突然そんな説明をするのかと訝しんでいると、


「それでね、ご主人様……。『民衆を導く自由の女神』って絵、知ってますか?」

「ああ、もちろん知ってるよ」


 ドラクロワの有名な絵画だ。フランス国旗を掲げた女神が武器を持った民衆を従える、勇ましい絵。


「あれに似てません?」


と言ってハルカがオムライスを指差した。


「似てるか……? 別にハタ以外、似てなくないか」

「いえ、似てます!」


ハルカが断言する。


「ハタだけじゃなくて、ハタを持ってる女神様の下って、こんな感じに、こんもりしてるでしょ……ほら……」

「ああ……」


 僕は絵の微細を思い出した。確かに女神と民衆は地面の上に立っているわけではない。その足元には、


「死体がたくさんある」

「そうです。それから、ケチャップが……」


と言って胸にケチャップボトルを引き寄せたハルカがにんまりと笑った。


「血ってことかい?」

「そうなんです」

「てことは、オムライスていうのはあの絵を模した料理なのかい?」

「はい。そうだったんですよ!」


 僕はその話自体より、わざわざそんな話をし始めるハルカへの疑問が大きくなっていた。メイド喫茶のメイドは学のあるところなぞは見せない。客に嫌われるからだ。それともハルカは大学教授である僕に合わせて学のある話題を振ってくれているのだろうか。確かにハルカの賢そうなところが僕の気に入る理由ではあったけれど。エグい話題選びも、ちょっと毒のあるキャラのハルカには合ってはいるけれど。


「ははあん、随分悪趣味なんだな、フランス人っていうのは……」

「だから本当のオムライスはチキンじゃなくて、殺した人間の肉で作ってたらしいですよ」

「まさか、それは都市伝説だろう」

「うふふ、でもねご主人様、クロワッサンの起源は知ってます?」

「ああ、あれはオーストリアがトルコに勝ったときに、トルコ国旗の三日月を模して、『トルコを喰っちまえ!』ということで作られたんだろう」

「あ、さすが先生〜ご存知なんですね」


 今度のは本当に褒められたようだった。


「そう、食べることによって敵を征服しようって考え方、結構よくあると思うんです。だからね、人肉オムライスっていうのもあり得るかもしれませんよ?」

「そう言えばオムってフランス語で『人間』って意味だな」

「あ、それ今言おうとしてた。そうなんです、『オムレツ』の『オム』から来てるって説と二説あるんだそうですよ」

「それでさあ、ハルカちゃん、冷めないうちにそろそろ食べさせてよ、腹減ってるんだよ」


 試しにハルカに揺さぶりをかけてみる。


「あっ待ってご主人様、それでね、そんな黒い歴史のあるオムライスにはジンクスがあって……、嫌いな人の名前を書いて食べると、その人を呪い殺せるんだって!」

「はあ」


 それでなかなかケチャップをかけなかったのか。


「だから、今日は、ご主人様の名前じゃなくて、ご主人様の嫌いな人の名前を教えてください、私が、がんばって、書きますから! 呪いを込めて!」

「ほお……そういうことですか……」


 僕がしばし沈黙するのを、ハルカは嫌いな人を探す沈黙であるととったようでにこにこ僕を見つめている。

しかし僕は別なことを考えていた。

この店も含め、メイド喫茶をはじめとするコンセプトカフェはイベントが月に何度もある。

今日は随分つっけんどんにオーダーをとるなあ、と思ったら入口の黒板にでかでかと「ツンデレデー」と書いてあった、なんてこともある。

だから不思議なことが起こった日には、今日は何かのイベントだろうかと考える必要がある。
 そしてすぐ思い当った。今日は4月1日じゃないか。


「ハルカちゃん、そんなこと言ったら、自分の名前を何度も食べてる僕はとっくに自殺してるじゃないか」

「あー、えーっと」

「今日はエイプリルフールだね」

「あー!」


 ハルカが悔しそうに叫んだ。


「いけると思ったのにー!」

「作り込みすぎたのが敗因だったな」

「だってえ、その方がご主人様はいいと思って……ああ、悔しいーもうちょっとだったのにー!」

「もうちょっとじゃないよ、大分怪しんでたよ」

 退店間際に知ったのだが、その日一番多くご主人様をだませたメイドが、ニンテンドーDSを貰えることになっていたらしい。

それを知っていれば、あるいは知らなくとも空気を読んで、騙されてあげれば、ハルカが一位になれたのかもしれない。でもハルカの悔しそうな顔が存分に見れたのでとにかく満足だった。

 

二時間近く滞在したのでハルカハもうあがっていた。別のメイドに見送られて店を出る。


「行ってらっしゃいませ、ご主人様」


 その時たまたま、カーテンの向こうの休憩室がちらりと見えた。

そこには、僕のフルネームが書かれたオムライスを猛然とした勢いでかきこむハルカの姿があった。

 

 

 

 

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これ全部ウソで完全なる思いつきなんでくれぐれも信じちゃダメです。

 

オムライスの発祥の地は日本、「オムライス 起源」でググると分かるけどこちらのお店だそうです。

http://www.hokkyokusei.jp/omuraisu-yurai/

 

あとタイトルは本文とまったく関係ないです。

昔思いついた罵倒語で、言ってみたくて仕方ないけど言う機会が無い

 

オムライスと言えばメイド、オムライスと言えば名前書き。

それと「オムライスのオムって何だ? オムレツのオムか?」という私の疑問と、

指原梨乃が「メイド喫茶に行ってオムライス頼んだけど恥ずかしくて自分の名前じゃなく秋元康の名前を書いてもらった」というエピソード
http://ameblo.jp/sashihara-rino/day17-20110520.html#main
が混じり合い、


豊か過ぎる想像力の羽が伸びて爆誕した奇譚ですね、楽しかったです(ええそりゃそうでしょうとも)

 

結局オムライスのオムはオムレツのオムだそうです。(上記サイト参照)

 

オムライスを頼む勇気はあるのに、

恥ずかしくて自分の名前をオーダーできない指原も大好きだし、

そもそも自分がアイドルなのにメイド喫茶に行くスピリットも大好きです。

 

最近の私の言ってみたいセリフランキング第一位は

「エッチだってしたのにふざけんなよ!」です。

ここぞという時にとっとく

 

 

 

ちなみに私シブサワはメイド喫茶で働いたことがあります。ド短期バイトで、3日間だけだったけどね。
年末年始に実家に帰らずわざわざメイド喫茶にやって来る、よりすぐりのキチガイを存分に堪能いたしましたとさ

 

オムライスは、メニューになかった。

小説の基礎練11:ポラロイドカメラの遺言(お題:ポラロイドカメラ)


小説の基礎練
です。詳細はリンク参照。 


目の前のパーティドレス姿の女の人に焦点を合わせ、シャッターを切る。全ての記憶を吹き飛ばすようなまばゆいフラッシュが焚かれ、失神しそうになりながらもなんとか気を強く保つ。皆が乗っているベルトコンベヤのように滑らかに進んでいく時の流れを降りて一瞬だけ過去に留まり、その光景を焼きつけようとする。実際その間は一瞬失神しているのかもしれない。正気に返った途端、慌ててベルトコンベヤに乗り直し、皆が進んだところまで小走りで追いかける……

 

ポラロイドカメラは必死なのでした。

脱力した死体からだらりと伸びた舌のように、ポラロイドカメラの身体からフィルムが出てきます。

女の人はキャッキャ言いながらそれを取り出してひらひら仰いで乾かし、

「わー出てきた出てきた」

と言いながら浮き上がってきた自分の姿にはしゃぎ、余白に花嫁へのメッセージを書き込むと、ステージ横のコルクボードにピンで留めに行くのでした。

ポラロイドカメラはへとへとになりながらそれをパーティ出席者分、こなさないといけないのでした。

 

ずっと、ポラロイドカメラはそういう暮らしをしてきました。

スタジオで撮影するプロカメラマンの露出調整のための試し撮り、あるいは、アイドルとファンの記念撮影。

 

カメラマンの撮影の時は、せいぜい一二枚しか撮らないから楽でしたが、あとに控えている立派な一眼レフに気後れするし、露出調整が終われば自分のフィルムはゴミ箱に直行するのは悲しいものでした。

アイドルの時は何十人、あるいは何百人にも及ぶファンの列にくらくらしながら拷問のような枚数をこなさないといけませんでしたが、可愛いアイドルの隣で幸せそうにはにかむファンの姿を見るのは悪くなかったし、そういう人たちがフィルムを捨てずに大事に持っていてくれるのは知っていたので、励みになりました。

 

でもどのみち、自分の撮った写真は数年後にはすっかり色が抜けてしまうことを、ポラロイドカメラは知っていました。

 

パーティが終わり、コルクボードに貼りつけられたフィルムを花嫁が一枚一枚剥がしていくのを見ながら、彼はむなしい気持ちに襲われていました。

本当に残したい写真はきちんとデジカメで撮っているはず。そして、焼き増ししたりして後日友達に届けるはず。

自分の写真は、あくまで今日のお楽しみのためだけ。

 

 

「いいよなあ、君は。僕も君みたいに、晴れの日の幸せな家族写真とか撮ってみたいよ」

片づけられたポラロイドカメラは馴染みのデジタル一眼レフにそう言いました。

「いいじゃないか、お前だって華やかなお姉さんとかアイドルとかレースクイーンを撮れるんだから。俺なんか七五三のガキとか、ぱっとしないリクルートスーツの大学生とか。まあたまに、成人式のお嬢さんも来るけどさ」

「でも君の撮った写真はいつまでも大切にされるし、人のつながりも生む。家族の結束を強めたり。最近気づいたんだけど、僕の写真がその場で出てきてありがたがられるのは、もう会いたくない人にその場で渡せるからなんだよ。アイドルはファンとはそれっきり、ってこと。刹那的なんだよ、僕のは」

「まあ、そう荒むなって……」

デジタル一眼レフはうまく慰めることができませんでした。

 

ポラロイドカメラの活躍の場が減っていることは知っており、それは自分たちのせいでもあるからです。

デジカメのプレビュー機能によって、ポラロイドカメラでの露出確認は不要になったし、アイドルの記念撮影だってファンが持参した小型デジカメや携帯のカメラ機能で済むのでした。

 

「僕には何も残らない、君たちみたいにデータも残らないし、アナログみたいにネガも無い……。僕は、今まで何をしてたかもう思い出せないんだよ。白いフラッシュで記憶が消されるみたいで……」

「だいぶ病んでるな。もう寝ろって」

そう言って身を横たえたデジタル一眼レフでしたが、心の中にはポラロイドカメラのある言葉が引っかかって、なかなか寝付けないのでした。

 

 

それから何年か経ち、デジタルカメラの台頭に伴ってますますポラロイドカメラの仕事は減っていきました。

そしてある時悲しいことが起こりました。ポラロイド社が倒産し、近々ポラロイドカメラ用のフィルムも生産が打ち止めになるというのです。

 

随分塞ぎ込んでいたポラロイドカメラですが、ある時デジタル一眼レフに向かって静かに言いました。

「僕は、自殺しようと思う」

デジタル一眼レフは驚きましたが、止めようとはしませんでした。

「でも、カメラが自殺って、どうやってするのさ? 飛び降りるか?」

「僕が乗ってるベルトコンベヤから降りて、二度と乗らなければ、僕はずっとそこにとどまっていると思う」

「それが死ってことか」

デジタル一眼レフは神妙な顔で頷くと、遠くを見やって言いました。

「なあお前昔言ってただろ、『僕には何も残らない、データも、ネガも』って」

「うん」

「でもそれ、いいことじゃないかとも思うんだ」

「どういうこと?」

「俺達デジカメは『どうせあとで減らせるから』って安易にぱしゃぱしゃ大量に写真を撮られる。お前、何も残らないって言うけど、俺たちだってデータを見たって何も思い出せないんだぞ? 一枚一枚の思い入れが薄いんだ。それに比べてお前は、一枚のフィルム代も高いし、ミスしたらムダになるから、大事に撮られる。そりゃ俺たちに比べてすぐさま出力しないといけないお前が撮影のたびに死ぬほど苦しむのは知ってるけど、でもその分フィルムは大事にされるんだぞ」

「……君も、覚えてないものなの?」

ポラロイドカメラが驚いて言うと、デジタル一眼レフは頷きました。

「なんだ、それじゃあ僕と一緒じゃないか」

「ハハハ」

デジタル一眼レフは乾いた様子で笑い飛ばすと、急に真面目な顔になって言いました。

「結局、何が残るかなんて大事じゃなくて、シャッターの瞬間の想いの強さこそ、人生なんじゃないか。お前の、その痛みが、お前だよ」

痛みが、自分。

ポラロイドカメラは確かに、シャッターの瞬間の身を切るような痛みと、一瞬天国が見えるような恍惚とした感覚だけは、鮮やかに覚えているのでした。

「でも……」

ポラロイドカメラは言いました。

「じゃあ、なんで人間は写真を撮るのかな。残るものが大事じゃないなら、写真要らなくない?」

「……それもそうだな」

デジタル一眼レフは考えたけれど、すぐにはまとまりそうにはありませんでした。

「俺は残るよ。それを考えるために」

「分かった。最後にお願いがあるんだ。僕の最期の瞬間を撮ってほしい」

「いいとも」

二つのカメラは相対しました。

「てことは、僕が最後に撮るのは君ってことになるね」

ポラロイドカメラははにかみ笑いをしました。

そして、黙ると、いつもは撮影者に決められているベルトコンベヤから降りる瞬間を自分で見極めるべく、神経を研ぎ澄ましました。

 

長年の付き合いであるデジタル一眼レフとの間に合図は不要でした。

ポラロイドカメラがシャッターを切ったのと全く同じ時刻にデジタル一眼レフもシャッターを切りました。

お互いのフラッシュのためにどちらのフィルムにも何も映らず、最後に出てきたポラロイドカメラのフィルムも真っ白でした。

でもだからこそ、いつまで経っても決して色褪せないのでした。





・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりの「小説の基礎練」でした。
何気に一年ぶり近くだった。

お題見て、
「ポラロイドカメラってそもそもなんだっけ」って思って、
いろいろ調べたら、
ポラロイドカメラの生みの親である
ポラロイド社が倒産していることがわかりました。
でもほかの会社がフィルムは作り始めているみたいだ。

いろいろ考えていたら
「時間とは」とか「死とは」とか「記憶とは」とか、
二時間におさまらぬ深淵なテーマに潜り込んでしまった。
まあ仄めかすことは出来たからよかったんじゃないかなーと思います。

三月に300枚長編を書き終えて以来なので、
小説を書くことが三カ月ぶりであった。
本当は六月末締め切りの文學界新人賞に出したかったのだけれど、
構想が出来そうで出来ず、
何かが最大限に近づいた時に掴めなかったので
むしろ遠ざかってしまった気がする……無念

構想を続けつつ、なまらないように基礎練もやっていきたいなあと思ってる

ポラロイドカメラはエモい
というかそもそもカメラがエモい

……とか言いつつも、私自身はカメラ大嫌いで、
レストランとかカフェで食べる前に写真撮る奴大嫌いだし、
結婚式とかディズニーランド行った時
マジで冗談じゃなく300枚くらい写真撮る女の子というのが
この世に存在しているもので、
うっかりそんな奴と行動をともにしてしまうと
殺意をおさえるの必死になってしまう。
そういう奴って、どこに行った時も「写真を撮った」という思い出しか
出来ないのでは?

同様に「思い出作り」という言葉も大嫌いである。
思い出を作りに何処かに行くというのはそもそもおかしくて、
何処かに行って(あるいは何処かに行かなくとも)思い出深い出来事があって
思い出がうまれるんじゃないの。順番ちがくない。

とにかくなんで、人間は写真を撮るんだろうね?

もう少し考えてみたいなあと思います。

「小説の基礎練」は、もちろん一定時間に小説を書き上げるトレーニングでもあるけど、
お題を突き付けられて普段考えもしないことを考えることが狙いでもある
ほっとくと私は同じことしか考えないからね

だから出来あがった話がちょっとくらいわけわからなくてもエモけりゃいいのだ(飛躍)


まー、できたら7月半ばまでに10本書きたいけど、
そうすると3日に1本になってキツいな。
少なくとも7月中には10本書いて、長編の構想も完成させたいなあと
思います。



ウィズラヴ!!!!!!!!!!!!!!!!

小説の基礎練10: デブフォン (お題:携帯電話)

JUGEMテーマ:自作小説


小説の基礎練です。詳細はリンク参照。


 

携帯電話はもはや携帯電話ではない。

電話だけでなくメールができる。すぐに電話がつながらない相手にも連絡ができる。

ウェブも見られる。地図も見られるから、初めての場所でも迷子にならないし、位置情報をつけて瞬時に居場所を知らせることもできる。

 

年老いた人は言う。

「携帯が無かった頃は、事前に待ち合わせ場所と時間をきっちり決めて、それでも会えないことがよくあったんだよ。同じ駅の隣の出口で待っていて、すれ違ったり。むろん遅刻なんてできなかった」

 

今はどうだろうか。むしろ約束なんかつけなくても「新宿なう」と呟けば、いや、位置情報つきのツイートをSNSに送るだけで、近くで暇な友達をひっかけることができる。

 

天気予報も分かる。位置情報がついていて、台風や地震が近づくとアラートが出る。

音楽も聴ける。好きな音楽を覚えこませれば、自動的におすすめの音楽のダウンロード先を紹介してくれる。

 

年老いた人は言う。

「昔はインターネットが無かったから、情報を集めるのが大変だったのよ。

テレビか、口コミ。自分でどうにかするしかなかった。

音楽なんて、テープを回していたんだよ。youtubeitunesも無かったし。

今は機械が勝手に教えてくれるんでしょ、おすすめの音楽を」

 

料理レシピも見られる。作った料理を記録でき、栄養が偏っていると、それを補うメニューを教えてくれる。

携帯を持ってランニングすれば、カロリーや走った距離を記録してくれる。

心拍数や体温を自動で測定し、毎日記録し、異常があればかかりつけの医者の携帯にメールがいく。

ディスプレイと目の距離が近すぎると、自動的に文字サイズが大きくなり、コンタクトレンズの処方が眼科へ送られる。

「昔は大変だったのよ。年に一度、健康診断というものがあってね。それは面倒だった。

今は医者の方から呼んでくれるのね」

 

クレジットカード、銀行のカード、薬局のポイントカード、保険証等をスキャンし、保存してくれる。更新期限やパスワードも管理する。

「昔はお財布の中が、カードだらけだったのよ」

 

人々はどんどん携帯を信用していく。

その場で連絡をとればいいから、待ち合わせ場所をいちいち決めない。

おすすめのバンドの名も、お気に入りのレシピも、携帯を見れば分かるからいちいち覚えない。

自分の健康状態も携帯が管理してくれるから、気を払わない。

 

携帯を落として、心神喪失状態になる者が出る。

これだけの個人情報が入っているのだから、悪用されたら致命的だ、という怖れより、携帯が手元に無い不安感のあまり、我を忘れてしまうのである。

小中学校での生徒の授業中の携帯使用、国会での議員の携帯いじりが問題となる。政府は両者を認める。

携帯を手に持っていない時の手の震えが国民病となる。

民間の携帯会社が、利き手と逆の腕に携帯を埋め込む技術を開発する。政府は追ってそれを許可する。

すると埋め込まれた携帯を他者に破損された場合の法的処置が問題となる。

携帯は身体か、否か。

「脳死は人の死か否か」以来で倫理学者が招集される。

最高裁において、携帯を破損することは傷害罪であると認定される。

 

全国民の携帯埋め込みが義務付けられる。

それに伴い、携帯の違法手術や闇取引が問題となる。違法滞在者への中古携帯の埋め込み、ハッキング、犯罪者の逃亡用の携帯書き換えなど。

携帯の機能がますます増える。あらゆる役所の手続きも、携帯から行える。ハンコ、婚姻届などは死語になる。携帯の持ち主が死亡した場合、心拍の停止から携帯から死亡届が自動で提出される。

 

携帯の機能拡張にともなう巨大化により、利き手の逆が重くなる。

利き手の逆側の肩コリが国民問題となる。死者も出る。

民間企業は、頬に携帯を埋め込む技術を開発する。ディスプレイは網膜に直接映し出される仕組み。頬のタッチパネルを触り操作する。政府、これを許可する。

 

人々のライフスタイルが大きく変わる。

病院では、カルテでなく携帯のバックアップをとる作業が行われる。万一携帯が破損した場合に備える。

義務教育の場においては、従来の暗記型ではなく、教科書の情報をいかにうまく携帯に流し込み、すぐ取り出して使えるかという技術を学ぶこととなる。教育者が、フォルダ型と、タグ型等の派閥に分かれる。

 

人間の記憶の携帯依存が進み、人の脳の退化が進む。頭蓋骨も小型になり、もはや小型テレビほどになった携帯を支えきれなくなる。首の骨を折って死ぬ者が続出する。

政府、全国民の顔に携帯を埋め込む方針を決定。もはや誰も、相手の顔など見ていなく、携帯ばかり見ているので、特に異議は起こらない。むしろ互いのディスプレイが見やすくなるので歓迎される。

 

待ち受け画面が、最大のファッション市場となる。

キリスト教の割礼は、新生児の携帯画面についている保護フィルムをはがす行為を指すこととなる。

生殖器によるセックスではなく、互いのディスプレイをタッチしあい、全てのデータを見尽くすことが、最大の性的興奮かつ愛情の印とみなされるようになる。

最高裁において、他人の携帯を破損することは殺人罪と同義という判決が下される。

 

 

 

・・・・・

なんとか二時間でおさまりました。これで「小説の基礎練」ひとまず終了です! わーわー

約二ヶ月で10本……目標より四日のびちゃったけど、完成してよかったー

 

今回のはなかなか気に入っております オチが時間内に思いつかなかったのが心残りだなー……(これでも終わってないことは無いと思うけど)

オチ募集中!(!)

 

iphoneに変えてほぼ一年。

ウェブは速いしtwitterも速い。パソコンのメールも見れるし、mapを開けば現在地が表示された精密な地図が即座に示されるし。

こんな小型の機械で何でも出来るなんて、「マジ、未来、来た!」と思わないわけがない。

同時にこいつに頼ってどんどんアホになっていく危機感も否めない(思い出そうとする前にiphoneで調べちゃうから、早くボケそう!)

そんなアンビバレンスな感情を込めてみました。

 

数十分後にiphone5の発表会ですか? 私にしては珍しく、時事に乗った記事になったな笑

 

小説の基礎練は、一冊の本にまとめて文学フリマで無料配布する予定です!

私個人の感想ですが、「小説の基礎練」は、速く書く練習、プロットを立てる練習、そして筆馴らしに最適だと思います。

同業の方にもやってみてもらいたい、そして他の人が書いたものも読んでみたい……!

 

もし私も基礎練やってみる!(やってみた!)て人がいたら、教えてくださいね……!

小説の基礎練9: とおまわり(お題:地下鉄)

JUGEMテーマ:自作小説
 

小説の基礎練です。ルールはリンク参照。

地下鉄はいつも不思議でした。

「僕は一体何をやっているんだろう? だって、真っ暗で何も見えない中、ぐるぐるぐるぐる、行ったり来たりしているだけ。僕にせわしなく乗りこんで、どやどや降りて行く人達は、一体どこへ向かっているんだろう。僕の背中の上にある、地上の世界は、そんなに楽しいところなのかな」

地下鉄は今日も、みかん色のランプがてんてんと続く、自分だけのために掘られた穴の中を走りながら、ぼんやり思うのでした。

 

でも、地下鉄が楽しみにしていることがひとつありました。

一駅だけ、地上に出ることが出来るのです。その間に、カラスとおしゃべりするのでした。

 

今日も、電線から降りて来たカラスが、地下鉄の頭の上に乗ってきました。

 

「やあ、丸の内。調子はどうだい」

「うーん。なんかいまいち」

「なんだ、ドア不良でも起こしたか?」

「ううん……。なんだかつまんなくてさ。いいなあ、カラス君は。地上の世界を自由に見れて。僕が見れるのはこの一駅だけだからね。僕が乗せているお客はみんな、行きたくて仕方ない場所があるみたいで、そわそわ、いらいら、焦っているけど、そんなに面白いところへみんな行くの?」

「違うよ丸の内。皆会社や学校に行くのさ。楽しくなんかないけど、遅刻が怖いから、焦ってるのさ」

「会社や学校……?」

地下鉄には何のことか分かりませんでした。

「お前は俺をうらやましがってるけど、地上っていうのは、会社や学校がえんえんと続いてるだけで、みんな家からそこに行って、また帰っていく、その繰り返し。別に面白いことなんかじゃないさ。それに嫌になっちまう奴が、たまに飛びこんでくるだろ」

「僕はまだ、轢いたことは無いけど……」

でも確かに、四ツ谷駅にたむろしている人の群れのどの顔を見てみても、暗く、いらいらしていました。カラスの言うことも本当かもしれません。その時、ある顔が地下鉄の目に留まりました。たったひとり、にこにこしている女の子がいたのです。

「あの子は?」

「さあ。学生かな?」

その時発車を告げるメロディが鳴りました。

「そろそろおさらばだな、丸の内」

「カラス君、たまにはもっと長くいてよ。一駅じゃ喋り足りないよ」

「あんな暗くて暑くて埃臭いところに付き合うくらいなら、焼き鳥にされるほうがましさ。あばよ」

カラスは勢い良く飛んで行ってしまいました。

 

翌日同じ駅で、また地下鉄はカラスに会いました。

「昨日の女の子、ちょっとおかしいぜ。四ツ谷で乗って、一時間もしないうちに四ツ谷に戻ってきた」

それを聞いて地下鉄は、ますますその女の子のことが気になり始めました。女の子は今日もホームの同じ場所にいます。地下鉄は、カラスに女の子の後をつけるよう頼みました。

 

その翌日、カラスが言いました。

「昨日は女の子と一緒に乗車してやったぜ。お前、結構いい走りするんだな。揺れないし」

「地下鉄はあんまり揺れないんだよ」

「そうなのか? 彼女、本郷三丁目で降りて、またすぐ逆の電車に乗って四ツ谷に戻って来たぞ。なんのつもりだろうな。目的地も無いのに電車に乗るなんて。そもそもここから本三なら、南北線使ったほうが早いのにな。もしかしたらお前のファン?」

地下鉄は赤くなって黙ってしまいました。

「なんだ、お前……、ほほう、心のダイヤ乱れか?」

「えっ」

「そういうの、恋って言うんだぜ」

「こい……」

そういうものかはよく分かりませんでした。でも、女の子の姿をホームで見つけると幸せでしたし、真っ暗な穴ぐらを走りながら浮かぶのはいつも、あの子の顔でした。そして、だんだんいらいらしてくるのでした。あの子は、どこへも行けない僕をからかっているんじゃないか。僕の無能ぶりを……。どこへも行きたいところがない、ただ決められた場所を走っているだけの、つまらない僕を。こんなものが恋なものか。そしてぼんやり、考えるのでした。女の子がもし飛び込んできて、僕が轢いた時、僕はどんな感じがするのだろうと。

 

ある日、地下鉄は、四ツ谷駅で止まったまま、動かなくなってしまいました。

止まって、女の子をじっとにらんでいたのです。ものいわずとも、なにかが伝わるのではないかと、地下鉄は思っていました。

「おい! どうしたんだお前! 無事故無欠勤がお前の自慢だったろ!?」

カラスの声も聞こえません。

車両点検に入ります、というアナウンスがあり、乗客は全員降ろされました。

 

地下鉄は車庫に連れていかれました。

「どこも欠陥は無いみたいだなあ」

点検のおじさんが腕を組んでいます。

(あるのに。僕は不満なのに。僕の心のダイヤ乱れに誰も気づいてくれない!)

地下鉄は苛立ちのあまりエンジンをヒートさせました。

「あち!」

おじさんはヤケドをしてしまいました。

「このポンコツ!」

地下鉄は電車墓場に送り込まれました。

 

電車墓場は、車庫の地下。すでに死んだ電車たちが折り重なって捨てられていました。

(こんなところに行きたかったわけじゃない……。君のせいでこんなところまで来てしまった)

地下鉄の心の中にはまだ女の子がありました。それは、真っ暗な墓場で唯一光る、心の中の明るい灯のようでした。

「これが、恋ってやつか……」

墓場の中で唯一生きている地下鉄は、ゆっくり眠りにつきました。

 

数日か、数ヶ月か、数年後、地下鉄は誰かに起こされ目覚めました。

「こいつらを溶かして武器にしよう」

誰かの声が聞こえたのです。

地下鉄は溶かされ、鉄砲の弾になりました。

(これで、この薄気味悪いところからおさらばだ。やっと地上に出られる。弾ならどこへでも行けるぞ)

 

しかし地下鉄は地上を見て驚きました。カラスの言っていた会社や学校は無く、えんえんと続くのは焼け野原でした。

「僕が眠っているうちに、こんなことになっていたのか……」

地下鉄も止まり、駅は防空壕として使われていました。

 

鉄砲の弾になった地下鉄は、隣の国に渡りました。いろんな人の手に渡り、いろんな人を殺しました。

(確かに遠くへ行ってみたかったけど、こんなことがしたかったわけじゃない)

やがて戦局が悪くなると、自国へ戻されました。

そして、めぐりめぐって、地下鉄だった鉄砲の弾のひとつが、あの女の子の手に渡りました。

女の子の手の中にあって、地下鉄は幸せでした。

女の子は手紙を書いていました。

 

『私と彼は、毎朝一緒に地下鉄に乗って登校しました。

四ツ谷で乗って、私はお茶の水、彼は本郷三丁目に。

南北線を使った方が早いけど、

「少しでも長く居たいから」「自分より先にお前を降ろして、痴漢にでも逢ったらいやだから」って、

遠回りの丸ノ内線で行ってくれるのが嬉しかった。

でも彼に召集令状が出て、彼は出征してしまった……。

不安でさみしくて、どこへも行きたくなくなった。学校へも行きたくなくなった。

でも、私は毎日丸ノ内線の同じコースをたどった。

それはお百度参りみたいなもので、そうしていれば彼の身にも大きな事件が起こらない気がした。地下鉄に乗っている時だけ、私は淋しくなかった。彼が隣にいる気がしたから。

でもその地下鉄も、戦局が悪化して、廃線になってしまった。そして、彼の死の知らせが……。

どこへも行きたくない私に、でも、最近、たったひとつ、行きたい場所ができたのです。それは……』

天国。

女の子が呟きました。

 

地下鉄だった鉄砲の弾は、彼女の胸にうずまり、彼女の血に濡れて幸せでした。

(彼女の行きたい場所に、届けるのが、僕の役目だ。

そして、僕も、どこへも行けなかった僕も、一番行きたい場所に辿りつけたから)

それは、彼女の胸の中なのでした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

人が死ぬ話が多いな。私どうかしてるのかしら。教えて! 巷のフロイトさん。

 

丸ノ内線と言えば、なかなかに思い入れの深い路線だ。

大学の時は本郷三丁目使ってたし、今も沿線に住んでいる!

都内二大都市(自分的に)新宿と池袋を、かなりの紆余曲折を経てつないでいるという

、なかなかメモリアルな線だ。

山手線ほどじゃないけと、荻窪から来て新宿、官庁街、銀座、東京、本郷を経て池袋っていう、なかなか東京一周あますところなく網羅している線だと思うよ。

 

「戦争」を出せばエモくなる、と小説基礎練7「片足」で学んでしまったのでまた知りもしない戦争のことを出す。

 

あーあとなんか今回も時間オーバーしてる上に邪魔が入ったり(虫が来た)したからよくわからない……。同業者のかたは「二時間で3000字も書けるの?!」と驚かないでください、たぶん3時間かかってる……

あっちなみにタイトル「とおまわり」は、
南北線を使わずとおまわり、ってのと、
地下鉄君の愛がとおまわりして成就するっていうことをかけてますってあーなに解説してるのヤボー


さ、次はいよいよラスト「携帯電話」! 時間オーバー無しできめたいものです、最後くらい……。

小説の基礎練8: 世界が見つけてくれるのを待ってる(お題:コインロッカー)

 小説の基礎練です。ルールはリンク参照



その駅のコインロッカーに、すっかり成長した少年がやって来ました。

コインロッカーにはすぐ分かりました。あの時の赤ん坊だと。

 

「やっと、来てくれたのね」

 

コインロッカーが喋ったので、少年は驚きました。

しかしその声は奇妙に慕わしく、耳の後ろにじんと染み入るような懐かしさがありました。

 

「僕のことを、覚えているの?」

「ええ。この十七年間、忘れたことは無いわ」

 

地下鉄の連絡通路ですから、通行人がたびたび通ります。

しかし、コインロッカーの声が聞こえるのは少年だけのようでした。

数年来の思い出を語るように、コインロッカーは話し始めました。

 

「私の身体に荷物を預けて行くのはいろんな人がいるわ。

いつも夕方現れて、制服を私に預けて派手な遊び着に着替えて、それから夜にまた制服に戻って帰る、シンデレラみたいな高校生。

それからオドオドした目つきで周囲を見渡しているかと思うと乱暴に私を開いて、大急ぎで小包を突っ込んでいく男性。匂いがきついから、せき込んでしまうの。取りに来るのは別な人。あれはきっと、いけないものの取引ね。

それから、私服を預けてスーツに着替えて出かけて、また私服に着替えて帰る若い男の子もいると思えば、スーツを預けて派手なワンピースとカツラとハイヒールを身につけて、うきうきとどこかへ行っては、またスーツに着替えて浮かない顔で帰っていく男性もいた。

きっと遠方から都会へ就職活動へ来ている学生さんと、家族に隠れて女の人のふりをして出歩くのが好きな会社員のお父さんね。

スーツを着る職業につきたい人と、それをやめたくてしかたない人。

それと、手紙を入れてきた人もいる。その人は取りに帰ってこないわね。あの思いつめた目つきからすると、遺書か何かだったのかもしれない」

 

「遺書……」

 

少年はその言葉を喉に詰まらせました。

 

「私の預かるものは荷物だけれど、それだけじゃない。「秘密」も一緒に預かると思っているの。

みんな、見つけてほしくない、うしろめたいものを私の中に入れていくわ。

でもね、本当は見つけて欲しいんじゃないか、って思うの。

だってこんな街中の、人がたくさん通るところよ。街の人はお互い、無関心を装っているけど、みんながみんな、孤独を抱えて叫んでる。

『誰か私を見つけて!』って。

だから私は、誰のことも見ていてあげる。

 

スーツに着替えて肩を落とす会社員の人には、

『女性の格好も素敵だけど、でも、その格好のあなたの帰りを待ってる奥さんとお子さんがいるんでしょ?

その姿だって、立派なものよ』

って。

 

制服を取りに来る女の子には

『ママには塾に行ってるって嘘ついてるの?

それとも、その派手なお洋服で家に帰ると叱られるの?

勇気をもってそのまま帰ってみれば?

親と子はこの先何十年も付き合うんだから、今だけ嘘ついてても苦しいわよ』

って、声をかける。

 

でも、なぜか、誰も私の声が聞こえないの。だから誰のことも救えないの。遺書を預けた人のことも……。

だから、せめて、絶対に忘れないようにしていたの。

もちろん、あなたのことも、あなたを預けた人のこともよ」

「僕を預けた人はどんな人だったの?」

「それは、知らない方がいいわ」

 

コインロッカーは覚えていました。

新聞紙に包んだ赤ん坊を、まるでゴミか何かのように放り込んだ、冷たい目の女を。

少年はぽつりと言いました。

 

「僕も、誰かの、うしろめたい、見つけて欲しくないお荷物だったのかな」

「そんなことない。本当は、誰かに見つけて欲しかったに違いないわ。

だって、じゃなかったら、こんな人目につくところに子供を置いてかない」

「僕は、どうやって見つかったの?」

「私が扉を開けたのよ。かたく鍵がかかっていたけど」

「そんなことができるの?」

「人間だって自分の骨を折れないことはないでしょう」

 

少年は驚いて、胸をつまらせて、何も言えなくなってしまいました。

 

「扉が開いて光が差し込んだ時、あなたは大きな声で泣き出した。通りがかった人が駅員さんを呼んで……。ああ、助かったと思ったわ。結構大きなニュースになったそうね」

「ありがとう。あなたが助けてくれたんだね……」

「うふふ。今でもそこは壊れっぱなし。随分ズサンな管理会社ね。まあ、あんまり大きなニュースになったものだから、気味悪がって私に荷物を入れる人も激減したんだけど……」

 

少年は十七番の扉を優しくさすりました。

確かにそこは、扉の角度がおかしくて、鍵を回すことが出来ませんでした。

 

「ごめんなさい」

「あなたは悪くないわ。こうして来てくれただけでも」

 

少年はコインロッカーを抱き締めました。

少年が腕をいっぱいに広げても、その何倍もの幅がありましたから、抱き締めるというより張りついているようでしたが。

 

終電に駆け込む人の波が落ち着き、駅は眠りにつくように静かになっていきました。

 

「こうしていると、落ち着く。

……僕がここから出て来たことは、最近になって知ったんだ。里親が隠していて……。

僕は、両親は僕が生まれてすぐ死んだと聞かされていたんだ。

でも最近になってやっと里親が本当のことを話してくれて。

施設でも学校でも、どこに行っても、僕は本当の居場所が無いと思っていた。出自が無いと思っていた。

でも、今、やっと、帰って来た気がする。生まれて初めてだよ、こんな気持ちは……」

「私もよ。私のことを見つけてくれた人は、あなたが初めてよ。こんなに人がいるのに」

「今までずっと、知らなくてごめんなさい」

「いいえ」

 

少年はしばし黙った後、尋ねました。

 

「その人は一度もここへは来ていないの?」

「ええ。でも……、来るかもしれないわね」

「そうかな」

「そうよ。少なくともあなたのことを忘れてはいないわ。ニュースを見て、あなたが生きていると知ってとても安心していると思うわ」

 

少年は十七番のロッカーにもぐりこみました。

ぎりぎりの大きさなので、苦労してなんとか入りこみました。

何度も少年の肌が壁にあたったので、コインロッカーはくすぐったがりました。

 

「随分大きくなったじゃない」

「当たり前さ」

 

少年が扉を閉めると、コインロッカーの声が内側から響いてよく聞こえるようになりました。

 

「……僕、このまま、明日まで見つけてもらえずに、駅員さんにも発見されずに、あなたと一緒にスクラップになってもいいと思うよ」

 

明日いっぱいでこの駅は廃駅になるのでした。

 

「何を言っているの」

「だって、生まれて初めてだよ。こんなに落ち着くことができる場所は」

 

この匂いも、暗さも、埃っぽさも、その全てを、少年は確かに覚えていました。

それらは少年の瞼の裏を、じんわりと湿らせました。

少年はひっそりと囁きました。

 

「ただいま」

「お帰り」

 

四方の壁から、返事は優しく響きました。

少年は大切な宝物をこぼすように、言いました。

 

「お母さん」

 

しばし黙った後、コインロッカーは返しました。

 

「そうね。あなたは私の子。お腹を痛めて産んだ、私の子」

 

コインロッカーは、あの時のように、優しい子守唄を歌い始めました。少年は今までで一番深い眠りに落ちて行きました。歌い声に混ぜて、コインロッカーが呟きました。

 

「のぞむなら、もうどこへも行かなくていいわ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「コインロッカーベイビー」という単語のことは、

村上龍氏「コインロッカーベイビーズ」という本のタイトルで知っていたんだけど、

本当に社会現象としてあったんだね。フィクションかと思ってた。

ちょっと前に「赤ちゃんポスト」って話題になったよね

 

私がしつこく使ってる大好きな単語「エモい」ってやつがあるけど、

「人がやって来て去っていく場所に、自分だけとどまっている」ってのはエモ要素だと思うんだよね

学校の先生とか、コインロッカーとか。「落ちる」と言って去る客を見送り続けるチャット嬢とか。

それから駅とかタクシーとか空港とか交通手段はエモい(そりゃあ出会いと別れが行き交う場所ですから)

あと回想シーンはエモい(長編連載漫画でよく使われるやつですね)

あと終わりそうなもの、あるいは終わったものは間違いなくエモい もうすぐ解散するバンド、もうすぐ廃校になる学校、文化祭最終日、あるいは廃墟

 

澁澤龍彦(←漢字出ないや)の随筆集のどれかに、

「冷蔵庫に入って遊んで出られなくなって死ぬ子供の事件が相次いでいる。あれは体内回帰願望である」

とかいうことが書いてあって、心に残っておる。

 

とかなんとかとかいう要素があって、こんな短編になりました

 

コインロッカーベイビーでググりまくってたりしたので時間大幅超過ですがまーもーいーやな、誰も気にしてないでしょ!!!!

 

ときにひとが死ぬことによってオチをつけるのはズルいからあんまり使いたくないけど、

死んだか死んでないか微妙な感じで終わる話はすごい好きである


小説の基礎練7: 片足の人(お題:片足)

JUGEMテーマ:自作小説
 
小説の基礎練です。ルールはリンク参照。



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片足の人は、長いことベッドにふせっていましたが、ある時出かけていきました。どこへ行く気もないのに。

 

街には陰鬱な空気がたちこめていました。

 

「やあ、片足だと歩きにくくてしかたないなあ。これじゃあどこへも行けないよ。

そういえば、僕の片足は今頃どうしているだろう。さみしいなあ。片足も、さみしがっているだろうか」

 

びっこをひきながら片足の人が街路を歩いていると、片目の人に出会いました。

 

「もしよかったら、僕の片足をあげるよ。その代わりに君の片目をくれるかい。僕の片目は爆弾の破片が刺さって、見えなくなってしまったんだよ」

 

片足の人は、これはいい提案だと思って、自分の片目をくりぬくと、片目の人にはめてあげました。そして代わりに、素敵な片足をもらいました。

 

「やや、これでずい分歩きやすくなったぞ。どこまででも行ける気がする」

 

片目になった両足の人は、ずんずんと得意げに歩いていきました。

しかし、得意げに歩いていたので、車の通る道も歩をゆるめず、車にひかれそうになってしまいました。

目が無い方から来た車が、全然見えなかったのです。

 

「いやはや危なかった。いくらずんずん歩けても、これじゃあ意味が無い。それに、さっきからくらくらして、小さな段差につまずいてばかりだし。

これじゃあどこへも行けないよ」

 

すると向こうから片耳の人が歩いてきました。

 

「そんなに困ってるなら、僕の片目をあげるよ。そのかわり、君の片耳と交換だ。僕の片耳は爆弾を近くで聞いて、聞こえなくなってしまったんだ」

 

片目の人は喜んでこの交換に応じました。

べりべりっと方耳をもぐと、片耳の人のこめかみの横にくっつけてあげました。

 

「やや、両目が戻った。なんて歩きやすいんだろう。これでどこまでも行けるぞ」

 

しかし問題が起きました。片耳の人はめがねをかける場所が無いのです。

せっかく両目がそろったのに、めがねがだらんと下がってしまって、何も見えません。

 

「いくら両目があってもこれじゃ意味が無い。おまけに車の音もよく聞こえないから、危なくって仕方ない。これじゃどこへも行けないよ」

 

そこへ向こうから片腕の人がやって来ました。

 

「もしあなたさえかまわなければ、私の片耳をあげますよ。その代わり、あなたの腕をいただきたいのです。私の片腕は戦車のキャタピラに巻き込まれて、ちぎれてしまったのです」

 

片耳の人は喜んでそうしました。

 

片腕になった人は、昔片足が無かったころの気分を思い出しました。

 

「片足が無いより片腕が無い方がましだなあ。だってどこへも行けるもの。

それにしても、僕の片足は今ごろ何をしているんだろう。さみしがってはいないだろうか」

 

片腕の人が歩こうとすると、困ったことが起こりました。

まっすぐ歩こうとしても、腕が無い側へと曲がってしまうのです。

 

「ぐるぐる、ぐるぐる、まるでコンパスじゃないか。片腕が無いとこんなことになってしまうなんて、知らなかった。

これじゃあどこへも行けないよ」

 

そこへ、どこも欠けていない、立派な身体つきの青年が現れました。

 

「ワタシ、トオーイ クニノ モーノ。ココノ クニ カネ アル、デモ ココノ クニノ コトバ ムズカシネ。

シゴト、ホシー、 ケド、コトバ デキナイ、 シゴト ナーイ。

コノママ、 シヌ ネ。

ワタシニ 、コトバ、クダサーイ。コトバ クレタラ、 ウデノイッポンヤニホンクレテヤッテモカマワナイ」

 

片腕の人は、すぐさまこの交換を受け入れました。

片言になった人は、その代わりに欠けるところが無い身体を手に入れました。

 

「コレデ、 ドコヘデモ イケールネ」

 

そこへ、大きなジープがやって来て、大きなラッパの音が響き渡りました。

 

「戦争だ。戦争だ。

活きのいい若者を集めるぞ。かたわや病気でないものは、ひとり残らずジープに乗るんだ。

言うことを聞かない奴は首ちょんぱだ」

 

片言の人は言葉が分からないので、ポカンと口を開けてジープを見つめていましたが、ジープから出てきた人に

 

「お前はどこも欠けていないようだな。乗れ」

 

と言って連れていかれてしまいました。

 

「ヤレ、ヤーレ。ヤット ドコカニ イケルト オモタラ コレネ」

 

ジープの中には片言の人と同じく立派な青年たちが乗っていました。

みな暗い顔で、黙りこくっています。

やがて先ほど片言の人をジープに乗せた人がやってきて、青年たちに順に質問していきました。どうやら名前や年齢を聞いているようです。

片言の人の番になりましたが、分からないのでポカアンとしていました。

 

「おい、お前何とか言ったらどうだ」

「ワカリマセンネー」

「お前、この国の人間じゃないな。なんで車に乗っているんだ。つまみだせ!」

 

ジープの人がそう叫ぶと、同じ服を着た人達が片言の人をつかんで、放りだしてしまいました。

 

「ヤレ、ヤーレ」

 

そこは、街からだいぶ離れた場所のようでした。

人気のない真っ暗な荒れ野を、片言の人は歩いていきました。

 

そのうち、片耳や、片目や、片腕や、片足が、しくしくと泣き出しました。

 

「帰りたいよう。さみしいよう」

 

それを聞いて、片言の人は、自分の片足もさぞかしさみしがっているだろうなあと思いました。

 

「僕の足も帰りたがっているのかなあ。帰ってくればいいのに」

 

やがて、荒れ野の遠くに光が見えたのでそこへ向かって歩いて行くと、処刑場がありました。

刑吏が言いました。

 

「やあ、どこを切ってもらいたいんだい?

分かってるよ、最近やたらと、兵役逃れのために片手片足を切ってもらいたがるやつが来るんだよ。

いくら戦争が長引いたって、こんなに片輪者が多いのは、そういうわけなのさ。

で、どこにする? 手? 足? 耳? 俺が一番得意なのは首なんだけどね。ハハハ」

 

片言の人は刑吏の言うことがよく分からないので、自分からギロチン台にかかり、身体半分とすっぱりおさらばしました。

 

「こりゃたまげた!」

 

刑吏が腰を抜かしています。

片言の人の片側の身体から、目や、耳や、腕や、足が飛び出して、「ありがとう、ありがとう」と言いながら持ち主の元へ跳び去っていきました。

それを見ながら、片側だけになってしまった人は思いました。

 

(僕はどこへ行こうとしていたんだろう。一体、どこへ行く気もないのに。

そうか、僕もあいつらと一緒だ。はぐれた身体に会いに行くんだ)

 

片側の人はぴょんぴょん、と飛び跳ねて行きました。

 

(なんて身軽なんだろう。なんて速く跳べるのだろう。はじめからこうしていればよかった)

 

そして、今となっては誰も近寄らない、かつての戦場にたどりつきました。

片側の人は嬉しくなって、更に勢い良くぴょんぴょんと跳ねました。

 

パン!

 

埋まっていた地雷が爆発して、片側の人の身体はこなごなに吹き飛びました。

そして、ずうっとそこに打ち捨てられていた、そのひとのばらばらの片足の上に、重なりました。

 

(これで全部、これで全部なんだ)

 

もはや片側の人でもない、何にも無くなってしまったその人は、とても幸せな気分で、そこで朽ち果てたのでした。

 

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にゃーん20分ほどオーバーしたねすいませんーでも誰も気にして無いからいいよねー

 

最近驚異的に目が悪くなって(コンタクトが一カ月で-6.5 から-8.0になった)

「このまま目が見えなくなったらどうしよう?!」というファンタジーにとらわれているため、

こういう話になった気がする

 

あと、湊かなえ読んだのと、絵本を読み漁っているので、「ブラック絵本」調になりましたね★

 

絵本と言えば死ぬほど好きな絵本が2冊あって、「いつまでも、鰐」と、「なんでも見える鏡」。激エモ。

後者はZEPPANなので、図書館で借りて読んでねー

 

なんか今回の話はものすごく気に入ってるかもしれん。今まで基礎練の中で一番気に入ってるかも

でもかなりインプリケーションが多いから、何言ってるかわかんね! って感想もありうるよなー私は全部分かるんだけどなー(そりゃそうだ)

小説の基礎練6:盆と正月くらい実家に帰れよ (お題:年中無休)

JUGEMテーマ:自作小説
 


小説の基礎練です。詳細はリンク参照。


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「盆と正月くらい親に顔見せてやれ」

そう言ってバイトを休ませる代わりに、自分は絶対に店に出ているのだった、店長は。盆も、正月も。

確かに年末年始やお盆の時期はコンビニにとって稼ぎ時でもある。クリスマスケーキやおせちや、お中元の予約が沢山入るからだ。

「ふー、季節の品くらいコンビニで買わずにちゃんとした店でちゃんとした品買えよなー」

と愚痴りながらも、店長は、いつも予約された品の発注を楽しそうにやっている。

 

大晦日の深夜、店に二人っきりだった時、店長がこんなことを言っていた。

「なんだかこの仕事してると、いつまでも若くいられる気がするんだよねー」

実際店長は若く見えた。本当は四十なのだが、下手すれば二十代後半でも通りそうだった。

自分がそう伝えると、

「二十代は言い過ぎだろ。

でも、こうやって、盆も、正月も、おんなじところにいて、田舎にも帰らず、親兄弟にも会わず、だろ。

本当は普通だったら今頃、従兄弟の赤ん坊を抱きかかえて、大きくなったねー、なんてやったり、親にあんたも歳をとったね、なんて言われたりするんだろうけど、そういうのもしばらくやってないから、全然、歳をとったっていう実感が湧かないんだ」

「そんなに、ずっと、帰ってないんすか」

「ああ。ここの社員になってからずーっと、もう五年くらいかなあ。

別に盆や正月以外でもいいから帰ればいいのに、なんかタイミングずれちゃうと、まいっか、と思って、ずるずる、五年も」

「そうっすか……コンビニは、年中無休ですからね。あんまりまとまった休みもとれないし」

「そうそう。でも、それはそれで、悪くないというか……。自分はこの仕事が好きなんだと思うよ。

コンビニって、若者の文化の結晶みたいなところあるじゃん。

夜中まで開いてて、唐揚げとか肉まんとか、脂っこい食い物があって、エヴァンゲリオンとかけいおん! のグッズがあって、いろいろ新しい情報が日々入って来て……。

盆や正月も無いけど、その分、年を越したことにも気付かず、歳をとったことも気付かず、いつまでも若く生きていける気が、するんだよなー」

「店長、そんなこと言ってぽっくり行かないでくださいよ。最近痩せた気がするし……」

「痩せてる方が余計若く見えるし、良くないか? 中年太りはごめんだからな、ハハハ」

なんだかさみしい笑い方が気にかかって、その会話はずっと俺の心にひっかかっていたのだった。

 

 

その数カ月後、店長は仕事中に急に倒れたのだった。

一緒にシフトに入っていた俺が病院まで連れて行った。

過労と栄養失調。

急にやめたバイトの替わりに、ろくに休憩も取らず、深夜に連勤したからだろう。

慢性的な栄養不足から、数日入院することになった。

点滴を打たれながらベッドに横たわる店長は、しかし、翌日にはもう半分回復しているようで、とても昨日倒れた人には見えなかった。

「病院も、コンビニと一緒、年中無休だな。もっともここは、若者じゃなくて老人が多数だけど」

「深夜にやってる救急病棟がすぐ近くにあって助かりましたよ……。

店長、勝手に携帯見ちゃいましたけど、実家にも連絡しときましたからね。

店長の実家って結構近くじゃないっすか。

お母さん、すぐ見舞いに行くって、言ってましたよ。本当に心配してましたから」

「え……」

その時扉が開いて、初老の女性が入って来た。

「一朗……」

その女性が店長のお母さんのようだった。

俺はお母さんの姿を見とめた店長の顔を見て、ぞくりとした。

「あんた……随分、歳をとったねえ……」

その言葉を浴びた瞬間、二十代と言っていいほどに若く見えていた店長の顔に、皺が刻まれ、肌が黒ずみ、眼窩がくぼみ、みるみるうちに、四十歳の顔に変ってしまったのだ。

 

 

 

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うーん、むずかしいー。これは不完全燃焼だ。

年中無休→盆と正月が無い→親兄弟に会わない→節目が無くいつまでも同じ時の流れの中で歳をとらない……ってことを書きたかったんだけどね なんかもっと面白いオチにしたかった……

しかしいつもより30分くらい構想に時間がかかってしまったんだよーあわてて書き切ったよー……難産だったよ……

 

あと年中無休と言えばコンビニと病院で、なんか両方出したいなと思っちゃったんだよね

 

 

わたしコンビニには並々ならぬ思い入れがあって。

といっても別にコンビニが好きというわけじゃなくて、

“コンビニ”という場所は実は人類の理想の地、つうか天国なんじゃないの?! と思ってまして。

だっていつでもどこでも年がら年じゅう同じものが買えるんだよ、それは桃源郷なんじゃないかしら。

 

昔読んだ宮台真司氏の本(多分『まぼろしの郊外』)に、

「昔は夜中に突然甘いものが食べたくなっても、開いてる店無かった(し、お店の人も知り合いなんだから、夜に一人分のスイーツを購入するなんて世間体的にもありえなかった)」

って書いてあって、

「コンビニすげー! 地域共同体から浮いた均質な空間すげー!(適当&うろおぼえ)」

と思ったものでした。

 

なんか割と気に入っている昔の(20110228)mixi日記を貼っておこう

要はいろいろ考え過ぎて力んでしまったんだと思われる。リベンジしようかなー(また言ってる)



 

『ダダイスト、タダイズベスト』

 

親の世代はコンビニを尊敬しない、 
「あんな出来あい」「同じ値段でもっといいものが食べれる」「味が濃い」「栄養」うんぬん。 
でもよくわからない変な店に入って家族製の手あかべたべたついた妙に高い料理食べさせられて1000円、 
とかよりはいいと思う。 

「一個一個お店で手作り」っていうミスドのコピーは倒錯で。(ケンタだっけ) 
手作りが愛されるのはほんの最近の話でオートメーションこそ人類の悲願。 
いつでも同じものが勝手にたくさん手に入るのこそ近代が夢見たユートピアなんじゃないの。 
だからあたしコンビニ好きよ。 

日本の神様はいざ知らず、キリスト教の天国は間違いなくコンビニがあるよ。 
あいつら労働嫌いだし永遠が大好きだからな。 
いつでも同じ味が、何の苦労せず手に入るってのは、まさしくキリスト教の至上の価値なんじゃないの。 

ベルトコンベアみたいなもんだろ永遠って。 


多分中国もそうだよ、桃しか食えないんだろチャイナの天国って。 
多分バーミヤンが入ってると思うよファミレスの。 









コンビニに野菜置くのやめて!!!!!! 夢がくずれる