即興小説トレーニング4「グルグルクローム」

お題:潔白な螺旋  必須要素:骨董 制限時間:15分(オンタイム)

 

進歩する過程は、高い山につけられた登山道のように、螺旋するものである。
旋回しながら高みにのぼっていくが、その中で幾度も「これはこの前みた景色と同じだ」と思って失望する瞬間がある。
しかし、見えている景色の高さは確実に高くなっており、頂上は近づいている。

 

「これは骨とう品のDNAだな」
研究者は言った。
「つまり、ガラクタだと思って打ち捨てられていたが、後世には評価が高くなるもの……」

当時その王朝では、目が二重で、全体に色素が薄く、足の第2指が一番長い、いわゆる大陸型の人間は忌み嫌われていた。死ぬまで差別を受け、奴隷やゴミ拾いなど職にしかつけず、死後も火葬をゆるされず、凍った土地に放り出された。何も悪いことをしていないのに、そういう扱いを受けていた。
しかしそのおかげで遺伝子が美しい形で残り、研究者が取り出せるに至った。

 

現在ほぼ絶滅しつつある、その遺伝子を持つ人間が、現在流行している感染症に強い耐性を持つのでは、という仮説があり、遺体はその研究に役立った。

 

当時はその大陸型の人間は、むしろ病気に弱く、結婚の時にその遺伝子が忌み嫌われたことから、差別につながっていたらしい。当時は「劣性」「退化した人間」「さるに近い」と言われていたらしい。

しかし実は、人類全体としては、その遺伝子を保存しておくことが、進歩の山をのぼることにつながったのだ。

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