即興小説トレーニング2「ブートレッグ」

お題:アブノーマルな仕事 必須要素:靴下 制限時間:15分(オンタイム)

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麻薬売りの俺は靴下の中にいつもブツを入れている。ブーツを履けばすぐには見えない。
どんな時だってうかつには靴をぬがない。
でも俺は彼女と寝る時に焦ってうっかり、そのブツを靴下ごとベッド脇にすっころがしたまま、眠りについてしまう。
起きたら彼女に問い詰められる。
「もう足を洗ったといったでしょう」
そういうけじめのつかない人とは、さようなら、と言われてしまう。
なんてこった。パンツはともかく、靴下なんて脱ぐ必要ないのに。
本当は、今日俺は求婚するつもりで、指輪だって用意していたのに。
彼女のアパートメントを締め出されるように出て、しかたがないので、玄関の前にでていた靴の中に指輪をしのばせる。

いつしか、風のうわさで聞く。
彼女の指がなくなったと。彼女だってアブノーマルな仕事だった。彼女は彼女で、何らかのけじめをつける用件があったのだろう。
なんてこった。指輪はあるのに。指がない。足はあるのに。クスリを詰める靴下も、クスリを詰めた靴下ごとつっこむブーツだってまだあるのに。

もう俺は彼女に連絡することができない。彼女はもうあのアパートメントに住んでいない。
まだ足はある彼女は、指輪を見つけただろうか。
もともと俺たちはすれ違いで、指がなくなる彼女に指輪を送る俺なんて、とんだトンチンカン野郎だったのだろう。
俺は足を洗ったが、おそすぎる。今更。

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