即興童話でお勉強 1 フランスパン/定規/警報


昔、嘘つきバービーというバンドのVo& Bの岩下さんという人がブログでやっていた「即興童話でお勉強」というコーナーが死ぬほど面白かった。(今はサイト消失しているようだ

なぜか私は紙に印刷して保存していたので今も読める。(それほど好きだった)本当は写メしてupしたいほどに面白いのだが、サイトが消えている以上それも行儀が悪い気がするので我慢しておく。 

とりあえず、わたしもやってみたくなったので、やってみることにする。
 
【即興童話でお勉強】
問題:

家族から適当に3つのキー単語を言ってもらい、それらの単語を絡めながら即興で童話を作りなさい。

 
答え:

【家族からもらったキー単語】
1.フランスパン
2.定規
3.警報 
 
『ハードじゃパン』
 
正門が近づくと、フランスパンを小脇に抱えた右腕にぎゅっと力がこもる。
1m定規で門柱をぴしぴしと叩きながら生徒を物色している生活指導の教師が目に入る。
「おはよう、加藤」
声をかけられて、思わずびくりと背を震わせてしまう。さっと私の脇に入り込んだ教師は定規を私のフランスパンにあてる。
83cm! 上限を3cmも超えているじゃないか!」
「す、すみません……今日起きるのが遅くて……」
「まさか家から買い置きを持ってきたのか? どうりでカッチカチなわけだ!毎朝焼きたてを買うのがパリジェンヌの基本だろう!」
 教師が私のフランスパンを、まるで硬さを確かめるように定規でぴしぴし叩く。
「お前、来春には留学する予定なんだろ? パンの乱れは心の乱れ! こんなパンを持ち歩いて笑われないのは日本だけだからな?!」
「はい、すみません、明日から気を付けます……」
背中に教師の睨みつける視線を感じながら、逃げるように去って教室に入る。
ここは、日本でも有数のパリジェンヌ養成高校。フランスに憧れ、フランス文化を愛し、将来はフランスに留学したい……というのは建前で、なんとなくフランスっておしゃれな感じがするしフランス人イケメンだし向こうでは日本人超モテるらしいしワンチャンないかな、と甘い夢を見る日本人乙女のための、留学準備校だ。両親を説得してこの学校にもぐりこんだものの、正直、眉唾モノだと気づいたのが遅すぎた。なんでフランスパン数cmのことでイチャモンつけられないといけないんだ。というかそもそも、本場のフランス人は本当に小脇にフランスパンを抱えているのか? 
むしゃくしゃするし、3cm食べてしまおう、ほかの教師にもねちねち言われるのは癪だし……かぶりつこうと大口を開けたところで、警報が鳴った。
「校舎に変質者が侵入しました! 北門から避難してください!」
そのアナウンスを聞き終える間もなく、教室にコートを羽織った中年の男が飛び込んできた。コートの中は全裸で、だらしなく開いた口の端からよだれを垂らしながら、にやにやした笑みを浮かべて教室の中へと進み入ってくる。泣き叫ぶクラスメイト達に委員長が言った。
「みんな! こういう時こそこれを使うのよ!」
委員長はフランスパンを構え、男に挑みかかった。しかし、まだ焼きたての芳醇な香りが漂う、標準長75cmぴったりの美しいそれは、男の手にかかるとふわりと折れてしまう。
「う~ん、じゅて〜む。とれびあ〜ん」
男はもぎとった委員長のフランスパンをむしゃむしゃと食べてしまう。
ほかのクラスメイトも次々とフランスパンを男に切り込んでいくが皆太刀打ちできず、男に食われるままだ。
「みんなどいて!」
 私は、昨日の買い置きの、かっちかちになった、不格好に長いフランスパンを日本刀のごとく構えて変態男に挑みかかった。
「これでもくらえ!」
 まだ食い足りないというようにあんぐりと開けている男の口めがけて振り下ろすと、男の歯が砕ける音がした。



・・・・・・・・・・・

昔見たファッション雑誌の「海外モデルのイケてるハロウィーンパーティレポ」みたいな記事で、
皆が気合の入った仮装をする中、白Tシャツ、ブルージーンズ、小脇に抱えたフランスパンのみの井出達で
「パリジャン」と称した男性がいて、非常に記憶に残っているのだった。
確か装苑とかVOGUEみたいなガチにハイクラスにおしゃれな雑誌だったので、驚きもひとしおだった。

 
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