靖子&THEピンクトカレフは解散した 〜 20150512新宿Loft〜誰にも分かって欲しくないから日記に書かない幸せ〜


「今日だけじゃなくていつも今日は今日だけなんだよ」
と彼女は言ってた、バンドが今日で解散だろうが、腹にこれからのことしか言及されないでかい肉の塊を抱えてようが、今日は今日限りだ。

ライヴというものは音楽を聴きに行く場でも、皆で非日常の空間を共有する場でもなく、ただ生きてるのを観に行く場なんだなと思った。めっちゃ生きてた。めっちゃ生きてる瞬間を観ているのだから、ああ今日でこのバンドは解散するのかなんて思う暇のあるやつは野暮だ。どっちにしろ今生きてるってだけじゃないか

それなのに私は思い出していたのだ、過去を。またひとつ靖子ちゃんとの思い出を思い出していた。3年前か4年前か、靖子ちゃんが初台WALLというハコでライヴをした時、私は時間に遅れて彼女の出番の後半にやっと駆けつけたのだけれど、彼女は私の姿を見とめて予定より一曲多く演奏してくれたのだった。あとから聞いたら彼女に予約を入れた客は私ともうひとりしかいなかったから(確か小森氏だったかもしれない)そうしてくれたらしい。
その日はよくわからない企画にぶっこまれて彼女以外の出演者皆内輪、彼女だけ完全アウェイという状況だったので、私とよく遊んでくれて、新年ということで壁を埋め尽くしている書き初め(おそらくハコのスタッフやバンドマンが書いたもの)の中に「大陰唇」と太筆で書いてあるものを見つけて大笑いしたりして、それで結局新宿まで歩いて一緒に帰った。私は自転車で山手通りを北上したほうが家に近かったのだが靖子ちゃんと一緒にいたかったので新宿までついてったのだ

その時、きっと彼女をものすごく褒めたけど、ひとつだけマイナスなことを言った。「服と靴が合ってない、スニーカーじゃなくてヒール履きなよ」と。
そうしたら彼女は確かこう言ったのだ、「バンドマンと一緒に歩く時多いじゃん、遅れたくないんだよね」と。

その時わたしは「いやステージ乗る時だけは我慢して履きなよ」と言い返したのだが、結局、時が経ち、去年の10月のキネマ倶楽部、今年の4月26日の中野サンプラザ公演では、彼女はフリルの衣装に合わせてとってもとっても高いヒールを履いていた。

おそらく3年前や4年前に靖子ちゃんと一緒に歩いていたバンドマンは、たかのぴや小森氏や大内ライダーで、いや今だって全然一緒に歩いてると思うけど、それでも、そのことが何が象徴的なものに思えた。

ものすごくものすごく高いヒールを履いてきて、それは女の子しか履けない卑怯なものもあったろうけど、それでもやっぱりヒール履いてくれて嬉しいです。


今日の彼女はバンドTにスニーカーという姿だったが、どんなにどんなに客席に近づいて今にも飛び込みそうにしててもダイヴはしなかったし、客も促さなかった。

他人の吐いた息しか吸えないほどに詰め込まれて熱くて煮えそうな客席の苦しさを、少しは味わってくれよ、と思ったが、

腹に可能性の塊がいるからだ。




生きてる人間が生きてるなあと思うだけかライヴで、そのことに打ちしがれることだけがライヴで。だから極端な話曲なんか何でもいいし出てるやつだって誰でもいいのかと思った。大好きな大好きなバンドを観ながらそう思った。


わたしもめっちゃ生きるわ。
コメント
トラックバック
この記事のトラックバックURL